研究課題
基盤研究(C)
我々は発生早期のニワトリ胚の頚髄に特異的に起こる運動神経細胞死に関係する様々な分子にについて検索を進めてきた。これまで発生早期の鳥類胚の頚髄に特異的に起こる運動神経細胞死において、死ぬ細胞はLimホメオドメイン転写因子の一つのLim3を一旦発現するもののその後発現が消失する特定の運動神経サブグループであることを明らかにしてきた。しかし、同様の転写因子の発現パタンを示す運動神経サブグループは他の脊髄レベルでも見られることから、死ぬ細胞の決定にはさらに吻尾軸における位置情報が重要な働きをすると考えられる。そこで、当該年度においては、吻尾軸におけるidentityの決定に関わるHox遺伝子の関与を調べるため、Hox遺伝子と共同して働き、運動神経細胞の部位特異的な分化に関わることが知られているForkhead domain転写因子の一つのFoxp1の発現について詳細に検討した。Foxp1は、細胞死が起こる直前の時期ではLim3の発現と相補的な発現パタンを示し、細胞死の進行とともに発現細胞数は減少し、細胞死が完了した時期には発現細胞は認められなくなった。また、細胞死の初期段階にある細胞における共存を調べたところほぼ全ての細胞においてFoxp1が陽性であった。これらの結果は、死ぬ細胞の決定や細胞死の開始の機序にFoxp1が関与している可能性を示唆するものである。さらに、Foxp1の機能や共同して働くHox遺伝子について、in situ hybridization法を用いて検索を進めたところ、細胞死が認められる範囲全域においてHoxC5の発現も認められることが明らかとなった。このことは、HoxC5が細胞死決定の因子であるための必要条件を満たすものと考えられる。今後、さらにほかのHox遺伝子の発現を調べたり、機能阻害実験などを通して解明を進める予定である。
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