骨盤内臓神経が関わる反射経路の発生を明らかにする目的で、仙髄副交感神経節前ニューロンを一酸化窒素合成酵素(NOS)で、それらのニューロンに投射する一次知覚神経をTRPV1、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)をマーカーとして、胎生期諸段階のマウス胚子を免疫組織化学によって調査したところ、節前ニューロンに対する一次知覚神経からの投射がE16において確認され、その投射はE18においてさらに増加していた。したがって、一次知覚ニューロンから仙髄副交感節前ニューロンへの直接投射を介する反射経路が胎生期において確立していることが明らかになった。この成果はNeuroscience Letters誌に発表した。 この反射回路が脊髄損傷によってどのような影響を受けるのかを調べるために、8週令のマウスにおいて、上位腰髄を半切し、2日後、4日後、7日後、14日後における、一次知覚神経から節前ニューロンへの投射を調査した。この結果は現在解析中である。 また、仙髄運動細胞柱における、自律性ニューロン(副交感節前ニューロン)、体性運動ニューロン、onuf核ニューロンの分化を探る目的で、胎生期諸段階におけるマウス胚子において、自律神経節前ニューロンのマーカーであるNOSの発現と、体性運動ニューロンのマーカーであるCGRPの発現を調べるとともに、運動ニューロンの分化に関係するとされているLIMホメオドメイン蛋白質、lslet-1、lslet-2の発現についても調べた。この結果は現在解析中である。
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