研究課題
基盤研究(C)
Insulin super familyに属するrelaxin3/Insulin like peptid7と呼ばれる新規脳ペプチドについて、機能形態研究を進めてきた。これまでに免疫組織化学法やin situ hybridization法を用いて、脳内における発現部位を同定し、平成18年度からは脳幹でのラット発育期における経時的な発現変化を検索して遺伝子は胎生18日より、ペプチドは出生時から検出できることを明らかにした。またrelaxin3遺伝子発現に対するセロトニン(5-HT)ニューロンの影響を調べ、5-HTの枯渇剤であるp-chlorophenylalanineを投与すると遺伝子発現が約1.5倍に増加することが分かり、5-HTにより抑制性に支配を受けていることを示して、Regulatory Peptides誌に報告した。5-HTやストレスで遺伝子発現が変動することから、次に遺伝子発現の制御機構について研究を展開した。relax{n3が神経系の培養細胞株Neuro2aに発現することを発見し、プロモーター領域にリポーターとしてEGFP遺伝子を連結させたベクターをNeuro2aに遺伝子導入し、さらにG418g選択により安定発現株を作製した。種々の薬剤を投与してEGFPの蛍光強度を測定したところ、細胞内cAMPを増加させるdibutyryl cAMPやforskolinにより有意に蛍先強度が増加した。またPIUの特異的な阻害剤であるH89投与によりその作用が抑制された。relaxin3ニューロンはCRF-R1受容体を発現しているので、細胞株に強制発現させて、CRFを投与したところ、有意にrelaxin3のプロモーターが活性化された。これらの結果よりrelaxin3遺伝子はcAM-PKAのsignal pathwayを介して転写が亢進されていることがわかり、おそらく生体内でも同様の機序で転写亢進されることが想定される。次に上流プロモーターの活性化部位の詳細を明らかにするため種々の欠損領域をもつ変異体を作製してリポーターアッセイを行ったところ、exon1開始点の上流67-117bpの50塩基対が活性化に重要であることが判明した。これらの成果をまとめて現在Journal of Neuroscience Research誌に投稿中である。同様の研究手法で新規のセリンプロテアーゼspinesinの遺伝子発現にcAMPが関与することを明らかにして、研究成果はJ Neurosci Res誌2008年度版に掲載された。
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