研究概要 |
1)ヒトタウオパチー脳とtauトランスジェニックマウス(TG)での検討 ミクログリアの活性化はtau沈着と相関すること,そして,P301LTGマウスのミクログリア活性化は,ヒトタウオパチーのミクログリアと比較してclass II抗原とSRAの発現が弱いことが示された。今回の結果からヒトとマウスのミクログリア活性化の違いが明らかとなった(Brain Research 1214:159-168,2008)。 2)amyloid β (A6)TG と tau TGとの比較検討 Aβ沈着を再現するTg2576トランスジェニック(TG)マウス(月齢5〜21ヶ月)、p-tau沈着を再現するP301LTGマウス(月齢17〜27ヶ月)を対象とし、病理学的検索を行った。ミクログリアの活性化は、組織学的に、Aβ沈着後に明瞭となり、p-tauよりもAβとより強く相関していることが示された(日本病理学会総会、金沢)。 3)tau、Aβの蓄積におけるシナプス障害の関与特にαシヌクレインの役割について 我々が作製したTgaSYNでは神経細胞内・核内封入体を示した。このαSYNマウスは封入体形成前に2.5カ月の時点から運動障害を認めること・から、αSYN蓄積の途中段階でシナプスの機能不全を来たすものと思われる(Brain Research l250:232-241 2009)。生体内でのtau蓄積、アミロイド沈着の形成過程におけるαSYNの関与の可能性が高いものと考え、ミクログリア関与を含めて今後の更なる検討を要する。 4)培養ミクログリアの携帯電話電波照射の影響についてラット初代培養ミクログリア細胞に電波照射実験を行い、ミクログリアの形態的及び機能的変化を評価した。その結果、携帯電話電波がミクログリアを活性化する可能性は極めて低いと考えられた。(BEMS 30th annual meeting, San Diego, 2008)
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