研究課題/領域番号 |
18500278
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
小杉 伊三夫 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (10252173)
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研究分担者 |
河崎 秀陽 浜松医科大学, 医学部, 助手 (90397381)
筒井 祥博 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50073135)
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キーワード | サイトメガロウイルス / 脳発達障害 / 遺伝子組換えウイルス / 持続感染 / 神経細胞障害 / 初代培養神経細胞 |
研究概要 |
サイトメガロウイルス(CMV)は胎内感染で脳障害を起こすウイルスとして最も良く知られている。前年度迄に当研究室では,マウスCMV(MCMV)を用いた感染モデルにおいてMCMVは発育期海馬・大脳皮質の神経細胞に感染することを明らかにし、MCMVの発育期神経細胞指向性を決定する要因として、MCMV早期遺伝子(e1)プロモーター(e1Pro)活性がトランスジェニックマウスで神経細胞特異的に発現することを報告した。しかし、実際にMCMVが感染している神経細胞におけるe1Pro活性の動態については明らかでない。 今年度は、e1Pro下流にレポーターとしてEGFP遺伝子を連結したコンストラクトを組み込んだMCMVを作製し、感染実験を行った。BAC法を用いた相同組換えによりe1-Pro/EGFP発現カセットをMCMV環状全ゲノムDNAに組み込み、このDNAを線維芽細胞に導入し組換えMCMV粒子を回収した。生後1目のICRマウス脳内及び初代培養神経細胞に組換えMCMVを感染し、感染脳はパラホルムアルデヒドで灌流固定後採取した。大脳スライス・培養神経細胞におけるEGFPの蛍光観察及びEGFP、E1蛋白及び神経系マーカーの免疫染色を行った。 MCMV感染脳において、感染3日後ではEGFPは脳室壁の非神経細胞に発現し、7日後では前者に加え大脳海馬・皮質の神経細胞に発現していた。10日後になるとEGFPは脳室壁では消失し、神経細胞のみに発現していた。E1の発現は、脳室壁及び海馬・皮質の何れにおいてもe1-Pro活性を示すEGFP発現の局在とほぼ一致していた。培養系でも神経細胞優位にe1-Pro活性を認めた。以上から、実際のMCMV感染においてもe1Pro活性はウイルスの発育期神経細胞指向性を決定する重要な要因であることを確認できた。また本研究で用いた組換えMCMVはウイルス感染神経細胞を明瞭に描出できることから、今後の解析に有用であると考えられた。
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