研究課題
基盤研究(C)
サイトメガロウイルス(CMV)は胎内感染で脳障害を起こすウイルスとして最も良く知られている。これ迄に当研究室では,マウスCMV(MCMV)を用いた感染モデルにおいてMCMVは発育期海馬・大脳皮質の神経細胞に感染することを明らかにし、MCMVの発育期神経細胞指向性を決定する要因として、MCMV早期遺伝子(e1)プロモーター(e1Pro)活性がトランスジェニックマウスで神経細胞特異的に発現することを報告した。しかし、実際にMCMVが感染している神経細胞におけるe1Pro活性の動態については明らかでない。18年度は、e1Pro下流にレポーターとしてEGFP遺伝子を連結したコンストラクトを組み込んだ遺伝子組換えMCMVの作製法を確立し、感染実験を行った。BAC法を用いた相同組換えによりe1-Pro/EGFP発現カセットをMCMV環状全ゲノムDNAに組み込み、このDNAを線維芽細胞に導入し組換えMCMV粒子を回収した。生後1日のICRマウス脳内及び初代培養神経細胞に組換えMCMVを感染し、EGFPの蛍光観察及びEGFP、E1蛋白及び神経系マーカーの免疫染色を行った。19年度は、e1-pro-DNA断片の長さを変えたe1-pro-EGFPを組み込んだMCMVを作製し、発育期大脳及び初代培養神経細胞における実際のウイルス感染で神経細胞と非神経細胞におけるe1-pro活性の発現を比較した。その結果、長さ1373bpのe1-proの上流域を欠失した長さ448bpのe1-pro活性は、非神経細胞では認められたが、神経細胞では大脳及び培養系の何れにおいても認められなかった。従って、神経細胞ではe1-proの上流域に特異的活性化領域が存在すると推測された。脳発達において齧歯類の出生後1〜2週はヒトでは胎生後期に相当する。この時期は脳成熟に向けた遺伝子発現の再編成が活発に行われ、発達障害に対する脆弱性が最も高い臨界期と考えられている。以上から、この時期に一致した発育期神経細胞におけるe1-pro活性化機構がCMVの神経病原性に深く関わることが示唆された。
すべて 2008 2007 2006
すべて 雑誌論文 (16件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (8件)
Laboratory Investigation Vol.88(印刷中)
Pathology International Vol.58(印刷中)
Laboratory Investigation
Pathology International 58
細胞工学 Vol.26
ページ: 35-39
Journal of Neuroscience Research Vol.85
ページ: 2981-2990
Journal of Virology Vol.81
ページ: 9013-9023
蛋白質核酸酵素 Vol.52
ページ: 1254-1260
Cell Technology 26(1)
Journal of Neuroscience Research 85(13)
Journal of Virology 81(17)
Protein, Nucleic Acid and Enzyme 52(10)
Archives of Virology Vol.151
ページ: 2181-2196
Birth Defects Research(Part A) Vol.76
ページ: 115-125
Archives of Virology 151(11)
Birth Defects Research (Part A) 76