研究課題
【目的】:変異SOD1(H46R)導入マウスの脊髄におけるミトコンドリアを電顕で観察し、ミトコンドリア異常が同マウスの病態機序に関与しているかを明らかにする。【方法】:同マウスの発症前早期(生後12週)、発症前後期(生後16週)、発症初期(生後20週)および発症末期(生後24週)の4群および年齢を適合させた対照マウスを用いて、電顕で検索する。まず、各マウスで潅流固定を行い、脊髄を切り出し、オスミウムに固定し、型の如く処理した後、エポンに包埋する。変異SOD1(H46R)導入マウスの脊髄のプラスチック切片にトルイジンブル-染色を施し光顕で観察した後、超薄切片を作成し二重染色を施し、電顕で観察する。また、異常ミトコンドリアに関しては、変異SOD1抗体が沈着しているか免疫電顕法を用いて観察する。【結果】:前発症期では、クリステの増加を伴う腫大したミトコンドリアや内部構造の融解したミトコンドリアのほか、層状あるいは渦巻き状の電子密度の高い異常構造物を伴うミトコンドリアがときに近位部軸索内でみられた。発症期では、異常構造物を伴うミトコンドリアが軸索内に普遍的に認められ、しばしば異常構造物がミトコンドリアの外方に突出する像が観察された。異常構造物を伴うミトコンドリアは経過とともに前角細胞の胞体、樹状突起および前シナプス終末でも認められた。免疫電顕では、正常と思われるミトコンドリアおよび異常ミトコンドリアともに、SOD1陽性の金粒子の沈着はみられないか、みられても軽度であった。【結論】H46R変異SOD1導入マウスの脊髄前角では前発症期から主に軸索内のミトコンドリアに形態異常が認められ、同マウスの軸索流障害に関与していることが示唆される。
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Journal of Neuropathology and Experimental Neurology (In press)
Neurodegenerative Diseases (In press)
Neuropatholgy 28
ページ: 74-80