研究課題
基盤研究(C)
脊髄の病理学を確立するために今年度は特に脊髄障害の中でも頻度の高い脊髄循環障害の特徴について下記のような内容を明らかにした。大動脈疾患、atheroma embolieなどの脊髄血管障害の病理については解離1生大動脈瘤などの大動脈疾患では解離の範囲やその程度とAdamkiewiczarteryなどの脊髄血管の流入部位の障害が重要であることを指摘した。また高齢化社会を迎えて、athroma embolieによる脊髄梗塞は今後高齢者の脊髄循環障害の原因として重要であることを指摘した。脊髄動脈の動脈硬化については特に前脊髄動脈の検索を行い、脊髄血管の動脈硬化が脳血管とは全く異なり極めて程度は弱く、むしろ大動脈からでる肋間動脈などのレベルの動脈硬化が大事であることを明らかにした。脊髄血管のアミロイドアンギオパチーは大脳に比して脊髄血管では極めて頻度が少ないことを明らかにした。また心停止による脳障害は脳虚血の問題として多くの研究があるが脊髄の虚血による障害は明らかでない点が多い。この点について我々は心停止後脳症による脊髄障害は大脳に比して軽度に留まることが多いことを指摘し、障害される場合には胸髄下部の横断面では中心動脈と辺縁動脈のwatershedに生じやすいことを明らかにした。脳死の脊髄障害では頸髄上部が最も強く傷害されしばしば鉛筆状軟化が生じることを明らかにしてきた。今後は脳血管障害との原因・病態の相違点を明らかにして、脊髄血管障害の病態の特徴を総合的に明らかにしたい。
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すべて 雑誌論文 (6件)
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