研究課題
脊髄の病理学を確立するために今年度は脊髄障害の中でも特に検索が遅れている脊髄の免疫学的異常に伴う脊髄障害の特徴を明かにした。以下にその代表的な所見について述べる。結節性多発動脈炎による脊髄障害は血管炎による血流障害が主であり、その治療はステロイドと免疫抑制薬に加えて血管の狭窄による虚血を防ぐ対策が必要となる。また動脈瘤破裂には高血圧が関与しているという報告もあり、脊髄障害の予防には早期の結節性多発動脈炎の診断とその病態を正確に把握した的確な治療が重要と考えられることを病理所見の検索から指摘した。肥厚性脊髄硬膜炎の脊髄における病理組織所見を明かにし、その治療は外科的手術による脊髄圧迫の除去が基本であり、椎弓切除、硬膜切開、肥厚硬膜切除、硬膜形成術が報告されていることを指摘した。今後は肥厚性脊髄硬膜炎の病態を正しく理解して、四肢麻痺の進行前に早期の診断と治療が予後に重要と考えられる。亜急性に出現する四肢の異常感覚、疼痛とともに深部感覚障害を示す感覚性ニューロパチーの症例の病理所見を検討し、本症の早期の診断、治療が重要であることを指摘した。他の傍腫瘍性脳脊髄炎との関連や、抗神経細胞抗体の果たす役割など病態については依然不明な点が多く今後の研究の進展が期待される。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (26件)
病理と臨床 25
ページ: 984-989
脊椎脊髄ジャーナル 20
ページ: 1051-1054
Neuropathology 27
ページ: 434-441
ページ: 331-340
J Neural Transm 114
ページ: 1559-1567
J Neuropathol Exp Neurol 66
ページ: 617-627
Pathol Int 57
ページ: 358-368