研究分担者 |
谷内 一彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50192787)
渡邉 建彦 東北大学, 名誉教授 (70028356)
山崎 浩道 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (00166654)
岡村 信行 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (40361076)
倉増 敦朗 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (90302091)
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研究概要 |
犯罪を起こした統合失調症患者では、幼少期から情報処理能力・認知能力に障害がある場合があり、また、一般的現象として感情表現の欠如、引きこもり現象は幼少期のエピソードとのつながりが示唆されている。そこで、幼若期のストレスが記憶/学習や認知機能に及ぼす影響、幼児期ストレスと神経の新生と定型あるいは非定型抗精神病薬での改善効果の有無をヒスタミン神経系に焦点を当てて明らかにすることを目的として、次に挙げる1-4の実施計画に基づき本研究を行った。1.ヒスタミン神経系に関与する遺伝子改変動物の作成では、現在までに報告されている4つのヒスタミン受容体(H1,H2,H3,H4)のうち、H1,H2,H3に関しては一つ一つのヒスタミン受容体の遺伝子欠損マウスが作成されている。それらのマウスを用いた研究結果からは、各受容体同士の機能の相互関係があることが示唆されていた。そこでヒスタミン受容体多重遺伝子改変動物を作成した。同時に一般薬として多種販売され自己責任で同時に服用可能なヒスタミン受容体拮抗薬の存在から、ヒスタミン神経系の生命への重大な関与の有無を明らかにする必要があった。2.若期ストレスモデルマウスの作成と行動薬理学実験では、幼若期の社会的ストレス負荷により記憶・学習能が低下することが明らかになった。このようなマウスへの覚せい剤投与は、さらに記憶・学習能を低下させる結果を引き起こした。強いヒスタミンH1受容体拮抗作用のある非定型抗精神病薬は、記憶・学習能力改善させる可能性がある。3.マイクロPIXEによる神経新生のイメージングと評価では、ストレス負荷マウスで海馬神経の新生が、減少されている可能性があった。4.神経伝達物質からみた幼若期ストレスの神経系への影響では、H1受容体の有無が、ドパミン神経系の機能に影響を与えていることが示唆された。現在まだ研究は継続中である。
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