研究概要 |
(1)臨床研究として、統合失調症にみられるsensory gatingシステムの異常である事象関連電位P50抑制障害が、健常者において、恐怖条件づけをすることでー過性にみられ、恐怖消去によって、再び正常化することを世界ではじめて発見した(Kurayama et al., 2009)。また、統合失調症の脳血流について、健常者と第一エピソード患者と慢性期患者を比較したところ、患者群で、中、下、内側前頭回、前帯状回の低下は共通だが、慢性期では、低下部位が下頭頂皮質、側頭葉後部、楔部にまで拡大していることが明らかとなり、疾患の進行に伴う機能低下領域の拡大を示唆する所見を得た(Kanahara et al., 2009)。 (2)基礎研究では、10-12週齢のミドカイン・ノックアウト(MK-KO)マウスと野生型(WT)マウスに関して、tyrosine hydroxylase(TH)とcalbindin-D28K(CB)の免疫染色を行ったが、ドパミン神経系の変性脱落などの所見は認めなかった。また、25-31週齢の加齢マウスにおいて、MK-KOとWTでの移所運動量を、パーキンソン病を起こす神経毒MPTP(N-methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine)30mg/kg投与前後で検討したが、有意差は認められなかった。以上から、MK-KOマウスは、ドパミン神経系の変性ではなく、機能変化を呈していると示唆された。以上のMK-KOマウスの研究成果が報告された(Ohgake et al., 2009)
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