研究課題
基盤研究(C)
1.一酸化窒素(NO)はガス性の細胞間シグナル伝達因子で、様々な生命現象への関与が示唆されている。中枢神経系においてもNO合成酵素の発現が広く見られ、様々な神経機能へのNOの関与が推測されている。しかしながら、神経活動依存的なNO放出の動態やその生理的意義については、多くの点で不明である。本研究では、NOシグナルとCaシグナルのイメージングに電気生理学的手法・薬理学的手法を加えた多角的なアプローチにより申請者自身が見出したNO依存的な小脳平行線維-プルキンエ細胞シナプスにおける長期増強(LTP)へのCaシグナル系の関与を明らかにし、さらにNOシグナル系とCaシグナル系とのクロストークを調べることで、このNO依存的LTPの分子機構の解明を目的として計画された。平成18年度には、先ず薬理学的実験により、NO依存的な小脳平行線維-プルキンエ細胞シナプスにおけるLTPが細胞内のカルシウム上昇に依存することが示された。さらにイメージング法を用いた解析により、この細胞内Ca上昇は、細胞内Caストアからの放出に依存することが明らかとなった。しかも、このCa上昇は、申請者自身の先行研究により示されていた、LTP誘導に必要なNOシグナルと空間的に一致する。これらの結果は、LTP誘導時に小脳プルキンエ細胞内で活性化されるNOシグナルとCaシグナルの間に強い関連性があることを示唆する。これらの成果は、平成19年度の得られる予定の成果の一部とともに、論文投稿予定である。2.上記の成果に加えて、1)小脳平行線維シナプスの機能維持へのプルキンエ細胞のIP3シグナル系の関与、2)小脳プルキンエ細胞内のリアノジン受容体とCa感受性カリウムチャネルとの機能共役機構、3)小脳平行線維シナプスにおける長期抑圧現象へのカルシニューリンの関与を明らかにし、それぞれ、研究発表の欄に記した雑誌論文として公表された。
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Neuropharmacology (In press)
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