研究課題
基盤研究(C)
遺伝性脊髄小脳失調症14型(SCA14)の原因として同定された変異γPKCは細胞内で凝集体を形成し、アポトーシスを誘発することが明らかとなっている。そこで、SCA14の病因究明と新規治療薬を探索する目的で研究を推進し、以下の結果が得られた。(1)変異γPKCの凝集体形成は、ユビキチン・プロテアソーム活性の低下とそれに引き続く小胞体ストレスを引き起こし、さらにアポトーシスを誘導することが明らかとなった。(1)変異γPKC発現培養細胞を用いたin vitro薬物スクリーニング系の確立。ドパミン神経由来細胞株であるSH-SY5Y細胞にアデノウイルスベクターを用いて変異γPKC-GFPを発現させた。発現後1-2日で変異γPKC-GFPの凝集体形成が蛍光観察可能であり、さらに3日後には多くの細胞でアポトーシスが誘発されていた。この細胞系を用いることで凝集体抑制作用を有する薬物のスクリーニングが可能と考えられるた。(2)二糖類トレハロースにより変異γPKCの凝集体形成、アポトーシス誘発が抑制された。(1)で確立した実験系を用い、様々な薬物の凝集体形成に対する効果を検討したところ、二糖類の一つであるトレハロースにより変異γPKCの凝集体形成が有意に抑制された。また、変異γPKCによるアポトーシスも有意に抑制した。以上の結果より、トレハロースは変異γPKCによる細胞毒性に抑制効果があることが判明し、未だ有効な薬物が得られていないSCA14の新規治療薬の候補となるかもしれない。
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