研究概要 |
本課題は、脳の発生発達に重要な役割を荷なうと考えられる、タンパク質のリン酸化に着目し、脳の発生発達の機序を解明しようとするものである。脳形成の障害された変異マウスと野生型の脳のタンパク質リン酸化を比較することで、変異マウスにみられる脳の形成異常とタンパク質リン酸化の異常の関連を調べる事で、新たな切りロで、脳の発生発達の機構を解明しようというものである。そのためには、包括的な方法としてプロテオーム解析がある。 本年度は、変異マウスとして、リーリンシグナルの細胞内アダプタータンパク質のDisabled-1(Dab1)の自然発症変異マウス、ヨタリマウスを用いて、その生後の小脳の発達期で解析した。方法としては、生後7日、14日のヨタリマウスと同胞の野生型の小脳の可溶性タンパク質を2D-DIGE法により比較し、1.5倍以上の差異のあるスポットを質量分析し、生後7日目で40個、生後14日目で70個を同定した。現在これらのタンパク質のリン酸化状態についての検討を行なっている。また、Cdk5の小脳特異的コンディショナル欠損マウスを作成し、同様に2D-DIGE法による解析を行ない、現在質量分析により、野生型と差異のあるタンパク質の同定を、質量分析により行なっている。なお、このマウスの小脳における、リン酸化タンパク質の変化に関しては、Cdk5のリン酸化部位特異的抗体を用いて、FAK,Pak1,DCX,CRMP2などの既知の脳内基質において、そのリン酸化レベルの低下を確認している。ヨタリマウスとCdk5の小脳特異的コンディショナル欠損マウスの解析結果を比較する事で、リーリンシグナルに特異的変化、Cdk5欠損に特異的変化、共通した変化の3つの群に分けて議論する事が可能となるものと考えられた。
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