研究課題
基盤研究(C)
昨年度は、電位依存性K^+チャンネルの結晶構造解析で、チャンネル開口に伴うコンホメーションの変化が大きい部位と考えられているS4領域周辺に注目し、N型およびP/Q型Ca^<2+>チャンネルα1サブユニット(α1Bおよびα1A)の1分子中に4箇所存在するS4領域の両側にそれぞれmyc-tag epitopeを、大腸菌における相同組換え法を用いて挿入した。次に、これら16種類のmyc-tag挿入α1サブユニットに対するcRNAを試験管内で合成し、それぞれのcRNAをアフリカツメガエル卵母細胞に微量注入し、チャンネルの発現を確認した。また、G蛋白質GoαのN端に蛍光蛋白質CFPを組み込んだCFP-Goαの1段階消光の確認を指標に、全反射蛍光顕微鏡を用いた蛋白質の1分子観察の条件を確定した。さらに、CFP-Goα発現細胞において、発現蛋白質の細胞膜上での1分子レベルでの動態が、受容体刺激によりどのような影響を受けるのかを調べるため、1分子軌跡計測の条件を検討した。作用薬による受容体刺激により、Goαの動きが抑制される傾向が見られた。一方、上記myc-tag挿入チャンネルα1サブユニットの発現を培養細胞発現系でも試みたが、チャンネル蛋白質の発現量のコントロールと適量の蛍光標識抗体の細胞内導入とが、アフリカツメガエル卵母細胞発現系に比較して難しいことが分かった。以上を踏まえて、本年度は、発現系としてアフリカツメガエル卵母細胞を基本的に用い、この系で発現させたmyc-tag挿入α1サブユニットを蛍光標識抗myc-tag抗体を用いて蛍光標識し、全反射蛍光顕微鏡システムを用いて1分子観察を行う。細胞膜を脱分極させたときの標識チャンネルの蛍光強度の変化から、Ca^<2+>チャンネル開閉の可視化の系を樹立する。また、G蛋白質や蛋白リン酸化酵素などのチャンネル活性の調節分子の作用機序を、この1分子観察系を用いて明らかにしていく。
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