研究課題/領域番号 |
18500310
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
姜 英男 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50177755)
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研究分担者 |
齋藤 充 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (50347770)
佐藤 元 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (10432452)
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キーワード | 持続性Na電流 / 活動電位生成 / 三叉神経中脳路核 / リルゾール / テトロドトキシン / QX-314 / 軸索初節 / 逆伝播 |
研究概要 |
三叉神経中脳路核ニューロン(MTNn)の軸索末梢枝は歯根膜機械受容器及び閉口筋筋紡錘を支配しており、軸索中枢枝は閉口筋α運動ニューロンに対しシナプスを形成していることから、それらの受容器からの感覚情報に応じた閉口筋活動調節に重要な役割を担っていると考えられる。しかし、感覚受容器の活動とは独立して、MTNnの細胞体が脱分極にすると、膜電位振動を生じリズミカルな発火活動を示すことも知られている。それにも関わらず、MTNnにおいて、末梢感覚受容器に由来するスパイクと、シナプス入力等により細胞体で発生するスパイクが、どの様にトラフィッキングされているのかについては不明であった。我々は、脳幹薄切標本上の1つのMTNnの細胞体及び軸索小丘部からパッチクランプ同時記録を行ない、細胞体への電流注入に応答して幹軸索中のスパイク生成部位で生じたスパイクが細胞体へと逆伝播すること、幹軸索におけるスパイク生成には低閾値型持続性Na^+電流が重要な役割を果たしていることを明らかにした。また、細胞体へのシナプス入力あるいは末梢感覚受容器に由来するインパルスの内、幹軸索においてスパイクを先に引き起こした一方が、軸索中枢枝から標的シナプスへ伝えられる可能性を見出した。一方、細胞体膜に存在する4-AP感受性K^+電流は、スパイクの由来によって相反する2つの作用を持つことも明らかになった。つまり、シナプス入力によるスパイク生成においては、スパイク生成部位-細胞体間の電気緊張的距離を延長することで抑制的に働くのに対し、軸索スパイクの細胞体への侵入においては、スパイクの持続時間を小さくすることで不応期を短縮し促進的に働くことが示唆された。以上の様に、細胞体に生じるスパイクは、その由来に応じて4-AP感受性K^+電流による異なる修飾を受け、その修飾を受けたスパイクが軸索中枢枝から標的シナプスへと送られる可能性が示された。
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