研究課題
基盤研究(C)
網膜スライス標本上で、GFP陽性像を指標にして同定したON型ならびにOFF型コリン作動性アマクリン細胞からパッチクランプ法を用いてATP応答を記録した。OFF型ではATPで誘発される大きな内向き電流応答が観察されたが、ON型ではATPに対する応答がほとんど観察されなかった。OFF型で観察されたATP応答は、1)プリン受容体アンタゴニストのPPADS存在下にATPを投与すると誘発されず、2)プリン受容体アゴニストのBenzoyl-benzoyl ATPを投与しても誘発されなかった。またこのATP応答は1)細胞外液に亜鉛を加えると増強され、2)細胞外カルシウム濃度を低下させるとATP応答が増強し、細胞外カルシウム濃度を上昇させると抑制された。これらの結果からOFF型コリン作動性アマクリン細胞にはP2X2型プリン受容体が存在すると結論した。この結果は免疫組織化学的観察で得られたP2X2型プリン受容体がOFF型コリン作動性アマクリン細胞に特異的に存在するという所見とよく一致した。またATPを投与するとコリン作動性アマクリン細胞へのシナプス前終末由来のGABA入力が増大することも観察された。現在このGABA入力に対するATPの効果がON型とOFF型で異なるかどうかについて検討を加えているところである。また網膜神経節細胞からのマルチ電極法を用いた記録システムは、理研脳センター細谷研究ユニットの協力を得て、セットアップ中である。
すべて 2006 その他
すべて 雑誌論文 (2件)
Neurobiol. Dis. 24
ページ: 245-53
J. Neurophysiol. in press