研究課題/領域番号 |
18500314
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
稲瀬 正彦 近畿大学, 医学部, 教授 (80249961)
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研究分担者 |
千葉 惇 近畿大学, 医学部, 助手 (30155311)
生塩 研一 近畿大学, 医学部, 助手 (30296751)
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キーワード | 大脳基底核 / 線条体 / 時間弁別課題 / ニューロン活動 / サル / 時間情報処理 |
研究概要 |
本年は、視覚刺激の時間弁別課題を遂行できるようにサルを訓練し、課題遂行中に大脳基底核線条体から神経細胞活動を記録した。記録領域は、大脳皮質前頭連合野との線維連絡が密な線条体前方部とした。課題では、呈示時間の異なる2種類の視覚刺激を、1秒間の遅延期間(第一遅延期)をあけて呈示し、さらに1秒間の遅延期間(第二遅延期)後に呈示時間の長かった方の視覚刺激を選択させた。刺激呈示時間は200〜1600msの間とし、100ms間隔で変化させて、呈示時間と行動や神経細胞活動との関連を定量的に解析した。 サルの両側線条体から288個のニューロン活動を記録した。そのうち167個が刺激呈示期や遅延期に何らかの応答を示した。今回は、特に遅延期応答について解析した。第一遅延期に応答した116個のニューロン活動のうち、84個(72%)が一番目の視覚刺激の呈示時間により活動を変化させた。これらのニューロン活動をより定量的に解析してみると、呈示時間が長くなるほど活動が増大するニューロンと、呈示時間が短くなるほど活動が増大するニューロンが認められた。いずれの場合も、呈示時間とニューロン活動との関連は線形であった。第二遅延期に応答した135個のニューロン活動では、89個(68%)が視覚刺激の呈示時間により活動を変化させた。これらのニューロン活動をより定量的に解析してみると、ニューロン活動の増大は必ずしも直前の2番目の視覚刺激の呈示時間と線形の関連を示さず、1番目の視覚刺激呈示時間と比べ、2番目の呈示時間が長いか短いかにより応答を変化させていた。すなわち、2番目の視覚刺激が1番目の刺激より長い場合に活動を増加させるニューロンと、2番目の刺激が短い場合に活動を増加させるニューロンが認められた。以上の結果は、線条体のニューロン活動が、刺激呈示時間と呈示時間を比較した結果とを表現しうることを示唆する。
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