研究課題/領域番号 |
18500314
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
稲瀬 正彦 近畿大学, 医学部, 教授 (80249961)
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研究分担者 |
千葉 惇 近畿大学, 医学部, 助教 (30155311)
生塩 研一 近畿大学, 医学部, 助教 (30296751)
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キーワード | 大脳皮質 / 前頭連合野 / 大脳基底核 / 線条体 / 時間弁別 / 視覚 / 神経細胞活動 / 神経生理学 |
研究概要 |
大脳皮質前頭連合野と大脳基底核とを結ぶ神経回路における時間情報処理機構の解明をめざして、研究を進めている。本年は、視覚刺激の時間弁別課題を遂行できるようにサルを訓練し、課題遂行中に前頭連合野と線条体から神経細胞活動を記録した。課題では、呈示時間の異なる2種類の視覚刺激を、1秒間の遅延期間をあけて順に呈示し、さらに1秒間の遅延期間後に呈示時間の長かった方の視覚刺激を選択させた。刺激呈示時間は200〜1600msの間とし、100ms間隔で選択した。刺激呈示時間の長短の順序もランダムに変化させた。呈示時間と神経細胞活動との関連について、特に刺激呈示中の活動を中心に解析した。 前頭連合野の神経細胞では、1番目の視覚刺激呈示中に、様々なタイプの活動がみられた。これらの活動は、クラスター解析により、大きく相同型、上昇型、持続型と分類できた。相同型活動は、視覚刺激呈示中に一過性の発射頻度の増加を示す活動で、全体の過半数を占めていた。一過性の発射頻度増加のピークは、刺激呈示開始後800msを中心に分布していた。また、発射頻度増加の幅は、400〜600msだった。課題における視覚刺激呈示時間の中間値が900msであるから、刺激呈示開始後800ms付近にピークを持つ相同型活動は、呈示された視覚刺激が中間値より長いか短いかを区分するのに活用できる活動と考えられた。一方、線条体では、2番目の視覚刺激呈示中に相同的に活動する神経細胞が多く見られた。相同的な活動は、前頭連合野の相同型活動と同様に、刺激呈示開始から一定の潜時で開始していた。前頭連合野と大脳基底核とを結ぶ神経回路では、相同型活動により視覚刺激の呈示時間を長短に区分している可能性が示唆された。
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