研究課題
小脳-橋-延髄-脊髄標本(小脳ブロック標本)に電位感受性色素を浸潤させて、下オリーブ核のニューロンの発火パターンを指標に光学的測定法を行った。最初に発達初期からリズムを作り、発火相を作る呼吸性ニューロンに注目し、小脳の機能発達において、自律神経系の1つである呼吸が神経回路形成に関わるのか検討した。小脳ブロック標本で呼吸活動をモニターしながら光学的サイクルトリガーヒストグラム法により50回加算平均すると、呼吸性ニューロンのマッピングが出来る。呼吸性活動が時間的・空間的に見えてくるのである。そうすると、延髄の呼吸関連の場所だけでなく、小脳の外側部や虫部にシグナルが捕らえられた。それも、発達初期においては、登上線維の走行の仕方に良く似たコンパートメント状に呼吸性ニューロン活動が観察された。また、その呼吸性活動は下オリーブ核、傍結合腕核(Nucpeus Parabrachialis)に存在し、パッチクランプ法を用いた結果より、Post-Inspiratoryneuronが記録された。それと同様のPost-Inspiratory活動が小脳にも観察された。これらの結果より、同相の活動が登上線維からと平行線維から小脳へ向かっていることになる。これにより呼吸活動が小脳神経回路の発達・形成に関与する可能性があるのではないかと推察した。呼吸は、発達初期に、小脳神経回路の活動依存的シナプス形成に深く関わっていると考えられた。
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Neuroscience 146
ページ: 1044-1052