研究課題
小脳-橋-延髄-脊髄標本(小脳ブロック標本)に電位感受性色素を浸潤させて、下オリーブ核のニューロンの発火パターンを指標に光学的測定法を行った。発達過程において、活動依存的なシナプス形成に発達初期からリズムを作り、発火相を作る呼吸性ニューロンは重要な貢献をしているのではないかと考えた。そこで、小脳の機能発達において呼吸性活動が神経回路形成に関わるのかどうか検討した。小脳ブロック標本で呼吸活動をモニターしながら光学的サイクルトリガーヒストグラム法により30-50回加算平均すると、呼吸性ニューロンマッピングが出来て、呼吸性活動が時間的・空間的に小脳-橋-延髄-脊髄に見えてくるのである。光学的呼吸性活動が延髄の呼吸関連の場所だけでなく、小脳の外側部や虫部にシグナルが捕らえられた。発達初期においては、登上線維の走行の仕方に良く似たコンパートメント状に呼吸性ニューロン活動が観察された。また、その呼吸性活動は下オリーブ核、橋傍腕結合核(Nucleus Parabrachialis:NPB)に存在し、パッチクランプ法を用いた結果より、Post-Inspiratory neuronが記録された。それと同様の活動が小脳にも観察された。さらに、迷走神経からは、肺伸展受容器からの呼吸性活動が求心性に入力し、NPBを経て平行線維に到達する。呼吸性活動が登上線維からと平行線維から小脳へ向かっていることになる。この結果より、呼吸性活動が小脳神経回路の発達・形成に関与する可能性があると推察した。呼吸性活動は、発達初期に小脳神経回路の活動依存的シナプス形成に深く関わると考えられる。
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Journal of Neuroscience 29
ページ: 2984-2996
Advances in experimental medicine & biology. 605
ページ: 83-87