平成18年度は自然発症高血圧ラット(SHR/NCrj)の、各週齢における血圧測定および血液学的・血液生化学的検査を主に行った。血圧測定は飼育環境にも影響されるため、個別ケージで室温21〜25度、明暗サイクル12時間で自動調節された飼育環境で覚醒下に尾動脈にて血圧測定を行った。その結果、自然発症高血圧ラットは生後数週齢から血圧が上昇することが確認された(コントロールのWisterラットの収縮期血圧が100〜120mmHgであるのに対して、自然発症高血圧ラットでは170mmHg前後)。また通常飼料で飼育する限りは、血液生化学的な異常所見は特に認めないことも確認された。赤血球の変形能はヘマトクリット2%に調整した赤血球浮遊液を作成し、これを用いてニッケルメッシュろ過法(フィルター孔径:3.88μm)にて評価した。Wisterラットにおける赤血球変形能は、生後6週齢で72%、8週齢で64%、13週齢で71%であり、明らかな週齢による違いを認めなかった。これに対して自然発症高血圧ラットでは、13週齢での赤血球変形能が34〜65%と広い範囲に分布していたが、いずれにしても正常対照群であるWisterラットのそれより大きく低下していた。 今後は自然発症高血圧ラットの各週齢での赤血球変形能を詳細に検討し、かつ血圧上昇との関連を解析して、論文化に繋げたい。
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