研究課題/領域番号 |
18500332
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
中山 ゆかり (六車 ゆかり) 東海大学, 医学部, 特定研究員 (80398750)
|
研究分担者 |
安藤 潔 東海大学, 医学部, 教授 (70176014)
八幡 崇 東海大学, 医学部, 助手 (10398753)
|
キーワード | 造血環境 / 造血幹細胞 / 間葉系幹細胞 / 造血制御 |
研究概要 |
【目的】 ヒト間葉系幹細胞(MSC)を免疫不全マウスの骨髄内腔に移植してヒト造血環境を再構築し、さらにヒト造血幹細胞を移植することでヒト造血システムを有するモデルマウスを作成し、ヒト造血の制御機構を総合的に解析する。平成18年度は、ヒト造血環境を有するマウスに臍帯血由来造血幹細胞を移植して生着率に関するその効果を解析し、ヒト環境がヒト造血幹細胞(HSC)を制御する分子機構の解明を試みた。 【方法・結果】 1)ヒト造血環境モデルマウスの作成:免疫不全マウスにGFPでマーキングしたMSCを移植すると、マウスの骨髄内でMSCが、造血微小環境を構成する細胞(骨芽細胞・血管内皮細胞・細網細胞など)に分化し、ヒト造血環境を再構築することが確認できた。ここで重要なことは、生着したヒト、MSCの大半が、HSC制御に重要であると報告されている細網細胞へ分化したことである。 2)ヒト臍帯血移植におけるヒト環境の効果の解析:上記作成したヒト造血環境を有する免疫不全マウスもしくは未処置の免疫不全マウスにヒト臍帯血由来のHSCを移植し、両移植群のヒト造血細胞の生着率を比較したところ、ヒト造血環境下において顕著にヒト造血細胞の割合が増加していた。さらに、未分化なHSCの維持も効率よく行われることが明らかになった。 3)ヒト造血機能の制御機構の解析:それぞれ別の蛍光タンパクでマーキングしたMSCとヒトHSCを同時に移植すると、MSCはN-cadherinやSDF-1を介して積極的に未分化な造血細胞と相互作用していることが組織学的に明らかとなった。 【考察】 本実験により、MSCは造血環境を構成する細胞の起源であり、ヒトMSCの移植によりヒト造血環境を再構築できることが明らかとなった。MSC由来のヒト造血環境はヒトHSCと積極的に相互作用し、ヒト造血再構築の促進と、未分化HSCの維持に重要な役割を果たしていた。
|