眼窩壁に衝撃が加わると、骨を通じた直接介達力により、または眼窩内容を通じた間接的介達力により、眼窩壁に骨折が発生する。こうした骨折は吹き抜け骨折と称されている。本研究においては、衝撃の加わる部位ならびに方向が、眼窩壁に発生する骨折のパターンにどのような影響を与えるのかを、シミュレーションモデルを用いて検証することを目的として計画された。ゆえに、本研究の遂行に当たっては、実際の眼窩の解剖学的ならびに力学的特性を正確に反映するシミュレーションモデル.の作成が必要である。平成19年度においては、そうした正確なモデルを作成する準備として、ヒト頭蓋における眼窩形態の解析を行った(発表論文第2項を参照)。さらに、作成された頭蓋シミュレーションモデルを用いて、頬骨骨折の固定法に関する力学的評価を行った(発表論文第3項を参照)。また、形成外科領域で頻繁に行われる手術である、Le Eort I型骨切術後における固定骨片の安定性に関して、解析を行った(発表論文第1項を参照)。それらに加え、作成した顔面骨モデルを用いて、顔面骨に圧が作用した際にどのような変移が生じるのかに関して解明が可能になったので、口唇裂患者における顔面成長パターンに関しての派生的研究を行い、発表した(学会発表第1項参照)。
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