研究概要 |
本年度は対象を肝臓として,(1)臓器の呼吸性の移動・変形の解明,(2)k空間トラジェクトリの最適化,(3)ステレオスコピックイメージングによるホットスポット位置の計測,(4)ホットスポットの動き予測による撮像位置の切り替え,及び(5)自己参照型温度分布画像化法の最適化,の5項目を進めた.(1)では肝臓内の静脈をランドマークとすれば,臓器の移動・変形量の測定,ならびに加温対象点の決定が可能であることを明らかにした.健常ボランティアに対して矢状面の撮像を行い,最低3本の静脈の断面の重心を求め,それらの位置を追尾した.この結果,肝の呼吸性移動は頭尾及び腹背方向に各々21mm及び6mm程度であるとともに,最大3mm程度の伸縮と,40°程度の回転をしていることがわかった.静脈重心位置から加温目標点を決定した場合の誤差が±2mm程度であることが明らかになった(業績論文4件目).(2)については最近のマルチコイル同時受信による撮像の高速化から平面状の撮像トラジェクトリでも200ms/枚以上の撮像ができ,呼吸性移動に対する追尾能力を有していることが分かった.(5)では加温前の参照画像を必要としない自己参照型温度分布画像化法に関する詳細な検討を行い,加温点を含む関心領域及び関心領域内の加温前信号分布を推定するための領域,の大きさと数の最適値,推定に用いる信号の最適属性,信号分布のモデル関数(有理式)の最適次数などを決定する指針を得た(業績論文1・3件目).その指針を適用することによって,参照画像を使用した場合と同等の温度分布計測能力を有することを明らかにした(業績論文1・2件目).以上を受けて,現在(3)及び(4)に関して,シーケンスプログラムと装置への実装を進めている状況である.ソフトウエア開発環境の整備に時間を要したため結果がまだである,H19年度より重点的に進めてゆく所存である.
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