研究課題/領域番号 |
18500354
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
林 紘三郎 岡山理科大学, 技術科学研究所, 教授 (90026196)
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研究分担者 |
山本 衛 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (00309270)
出口 真次 岡山大学, 自然科学研究科, 助手 (30379713)
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キーワード | 組織再構築 / リモデリング / 生体軟組織 / コラーゲン / クロスリンク / 引張試験 / HIT法 / バイオメカニクス |
研究概要 |
生体組織は合目的的に最適に設計されているうえに、外的負荷の変化に適応してサイズや性質を変化させる。この現象は、生体組織に特有な性質であり、組織の「再構築」あるいは「リモデリング」と呼ばれている。骨のリモデリングに関する研究の歴史は古いが、生体軟組織におけるこの現象に関する研究の歴史は浅く、しかもそのメカニズムは未だ明らかでない。 再構築される組織の主体はコラーゲンであるので、再構築組織の成熟と機能はコラーゲン架橋(クロスリンク)などのネットワーク構造やコラーゲン線維間相互作用などに密接に関係する。コラーゲン線維間あるいは分子間の架橋の解析には、従来はもっぱら生化学的手段が利用されてきたが、この方法は非常に複雑で面倒な技術と高価な装置を必要とするうえ、得られた結果を組織リモデリングのようなバイオメカニカルな現象に定量的に結びつけるのが難しい。 そこで、本研究では、生体組織を含む各種材料の粘弾性の一般的計測法である応力緩和試験をコラーゲン架橋度の測定に利用するHIT (Hydromechanical Isometric Tension)法を応用することにした。この方法では、蒸留水に浸漬した試料をある大きさのひずみ(本研究では生体内で生ずるひずみ)まで引っ張ったまま、コラーゲン変性温度(90℃)以上まで加温し、このひずみと温度に保持した状態で応力緩和を計測する。応力緩和の大きさがコラーゲン架橋度を表すことになり、安定なコラーゲン架橋が多いほど応力緩和が少ない。 本年度は、この実験を行うために、生体組織から摘出した数mmオーダーの小試料に正確に所定の大きさの引張変形を与え、しかもそのひずみ状態で変形を保持しながら試料の温度を100℃に維持でき、しかも正確に応力が計測できる装置の設計,製作を行った。そして、その評価を行ったところ、所期の結果が得られることを確認することができた。
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