| 研究概要 |
不完全麻痺者の歩行訓練中に脚部の状態を計測する身体装着型センサとその波形処理方法を検討し,歩行改善に有益な情報を麻痺者に呈示,さらに訓練の達成度を自動的に評価するセンサシステムを開発することが本研究の目的である.センサシステムは,センサ,コントローラ,システム本体を装着単位毎にモジュール化し,そのセンサ等のモジュールからシステム本体やパーソナルコンピュータへの出力信号の伝送には無線通信を用いた.センサ等を無線モジュール化することにより,センサ毎の配線が無く,身体装着やデータ収集が容易になり,臨床的実用性が格段に向上したシステムを構築することができた.なお,無線モジュールや各種センサの小型化に関する開発は地元企業である(株)和泉テックとの共同開発により行った.
本研究では,開発した身体装着型センサにおける波形処理方法として,圧電式ジャイロスコープを使用した関節角度の計測と歩行期の識別方法について検討した.ジャイロスコープを体幹,大腿部,下腿部,足背部に装着し,それらの出力の差分値を基に膝関節と足関節の関節角度を計測した.また,それらの出力を基に遊脚期と立脚期の識別を行った.それら方法の実現可能性について健常被験者における歩行実験により検討した.ゴニオメータにより計測される関節角度と,アルミ電極より識別される歩行期との比較検討を行った結果,ジャイロスコープより構成されるセンサシステムが十分な精度で下肢関節角度と計測でき,誤り無く遊脚期と立脚期を検出できることが示された.したがって,ジャイロスコープを使用することにより妥当な精度で関節角度と歩行期を認識するセンサシステムを安価でコンパクトに構成できることが示された.以上のことから,提案したセンサシステムを歩行訓練において有効に用いることができるものと考えられる.
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