眼球電図(EOG)の解析に眼球電池モデルを適用してEOG電位の特性を検討しているが、本解析の有用性を検証するため、従来の測定法に改良を加えた方法を導入して研究を進めている。従来の測定法である眼球周辺の二つの電極の間だけから測定したEOGではなく、体を負極にしてそれと眼球周辺に貼り付けた電極毎のEOGを検出しているので、眼球周辺の位置毎の特性が把握できる。この改良された測定法により、クロストークの特性解析がより明確に進められるようになった。その結果、健常者の両眼から測定したEOG波形は、両眼を左右同じ向きにステップ状の繰り返し運動をさせたとき、片眼の内眼角部と対側眼の外眼角部、片眼の外眼角部と対側眼の内眼負部の電位波形はそれぞれ同相に、同一眼の内眼角部と外眼角部の電位波形は逆相になっていることが明瞭に把握された。しかも、クロストークの影響により、内眼角部の電位が外眼角部より低くなっていることも測定波形に現れていた。両眼健常者のEOGにはすでにクロストークの影響が混入しているが、片眼無眼球者ではクロストークの影響がないEOGの測定ができ、しかも無眼球側にはクロストークによる電位が生じているので、クロストークの特性を解析するには大変好都合なデータが得られる。平成18年度は片眼無眼球者から数例のEOG波形を測定した。バラツキが大きいので、解析のためにはさらにデータ数を増やす必要がある。 また、MS-DOSによるデータ処理をWindows環境下でVisual C^<++>による処理・解析に切り換える作業は半分程度進み、夏までには完成させて処理の切り替えを行う予定である。手間はかかっているが、旧システムによるデータ処理も並行して進めており、クロストーク処理の検討もある程度進んでいる。
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