研究課題
眼球電図(EOG)の解析に眼球電池モデルを適用してその特性を調べているが、本解析の有用性を検証するため、従来の測定法に改良を加えた方法を導入して研究を進めた。従来の測定には、眼球両側の二つの電極の一方を負極、他方を正極としてEOGを測定する方法(バイポーラ電極測定法)が用いられてきた。本研究には、体を負極とし、眼球周辺に貼り付けた個々の電極を全て正極としてEOGを検出する方法(モノポーラ電極測定法)を用いた。モノポーラ法を導入することにより、眼球周辺部位毎の特性が個別に把握できるようになった。この改良された測定法の導入により、クロストークの特性がより明確に分析できるようになった。健常者の両眼から測定したEOG波形は、両眼を左右同じ向きにステップ状の繰り返し運動をさせたとき、右眼の内眼角部と左眼の外眼角部、同じく右眼の外眼角部と左眼の内眼角部の電位波形はそれぞれ同相に、右眼の内眼角部と外眼角部、同じく左眼の内眼角部と外眼角部の電位波形は逆相になっていることが観察できた。両眼健常者のEOGにはすでに他眼からのクロストークの影響が混入しているが、片眼無眼球者では健常眼球側からはクロストークの影響がないEOGの測定ができ、無眼球側からはクロストーク電位だけを測定できるので、クロストークの特性解析には大変好都合である。本研究では、19年度も片眼無眼球者から数例のEOG波形を測定した。バラツキは大きいが、平均してクロストークは無眼球側内眼角で健常眼側内眼角電位の25%、同外眼角で11%であった。すでに両眼健常者のクロストーク除去の理論は報告しており、その式に今回求めたクロストークの値を代入すれば、両眼健常者でもクロストークの除去ができる。また、片眼無眼球の実測データに眼球電池モデルを適用して、眼球から流出していると考えられる電流値を求め、種々の場合のEOG電位特性を計算して解析した。
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