研究課題/領域番号 |
18500358
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 国立循環器病センター(研究所) |
研究代表者 |
上村 和紀 国立循環器病センター(研究所), 循環動態機能部, 室員 (10344350)
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研究分担者 |
杉町 勝 国立循環器病センター(研究所), 循環動態機能部, 部長 (40250261)
神谷 厚範 国立循環器病センター(研究所), 循環動態機能部, 室員 (30324370)
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キーワード | 自動制御 / 心不全 / 心臓酸素消費量 / 迷走神経 / 心拡大 / 心臓間質酵素 |
研究概要 |
我々の先行研究では、血行動態自動制御システム使用下に、心筋収縮能を高めて血圧・心拍出量・左心房圧を一定に保ちつつ、心拍数を低下させることで心臓酸素消費量を低減した。しかし同時に強心剤が増量されることで、カルシウム過負荷など心臓酸素消費量以外の因子による心筋障害が引き起こされる可能性がある。よってこのような心臓酸素消費量低減療法が、実際に心筋障害を軽減し心室機能を維持しえるか、またどの程度の心筋障害軽減効果があるかを確認するための実験環境をまず確立した。実験にはウサギをもちいた。血圧80mmg、左心房圧10mmHgが定常的に負荷できる実験回路に供血ウサギ由来の新鮮血を充填。摘出された心臓を接続し、冠動脈血流分をサポートウサギからの血流で補い、体外にて体内にあるのと同様な負荷がかけられる回路を確立した。実験手技の改善に伴い心拍出量をドブタミン投与で制御できるようにする予定である。 血行動態自動制御システム使用下に、実際に患者において心拍数を低下させ制御する方法として迷走神経の電気刺激による方法が、薬物的方法と同様に候補に挙げられる。この迷走神経刺激による心拍数低下時に、心臓肥大に関連する心臓間質酵素がどのような影響を受けるかをやはりウサギを用い検討した。迷走神経刺激により、心筋間質中の心拡大を来たす酵素(Matrix Metalloproteinase-9)はその酵素活性が低下することを見出した。また同時にこの酵素に対する内因性の阻害物質(TissueInhibitor of Metalloproteinase-1)が強く誘導されることを見出した。これらより血行動態自動制御システム使用時に迷走神経刺激により心拍数を制御すれば、心臓酸素消費量低減効果に加え、病的心拡大を防止し長期予後の改善効果があることが期待される。この結果は2007年3月15日第71回日本循環器学会総会(神戸)にて発表した。
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