研究概要 |
本年は所属機関を変更したこともあり,当初予定した計画を一部修正し以下の研究を行なった。 1.種々の代謝・酸化ストレス条件を変化させてIV型コラーゲンの分泌フォームを調べた。 アスコルビン酸の作用に対し拮抗的に作用する可能性のある薬剤として,N-アセチルシステインが見つかった。 2.ゼラチンフォームのポリペプチド鎖の精製を行なった。 ペプチド解析を可能な約100μgのペプチドは精製できた。 3.ヒトメサンギウム細胞によるIV型コラーゲン産生に及ぼすアスコルビン酸の作用を転写レベルで検討するために,リアルタイムPCRを行ない,I型コラーゲンとの転写調節の相違を半定量的に調べた。 IV型コラーゲンの転写は、I型コラーゲンと異なりアスコルビン酸の直接の影響を受けないことを明らかにした。この結果は,IV型コラーゲンに対するアスコルビン酸の作用は転写を介するものではなく、翻訳後の細胞内環境、おそらく細胞内アスコルビン酸濃度に依存することを強く示唆する。 4.IV型コラーゲン遺伝子の単離と遺伝子発現系の開発を行なった。 α1(IV)鎖およびα2(IV)鎖の遺伝子の全長を単離するには至っていない。C末端側のNC1ドメインのみを単離し、発現ベクターに組換えた。 5.ゼラチンフォームのα1(IV)鎖分泌過程を細胞内の抗体染色で解析した。 3本らせんフォームの場合に比べ,小胞体の染色が強くなることが示された。ERでの滞留がおきると推定できた。
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