研究課題/領域番号 |
18500363
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
奈倉 正宣 信州大学, 繊維学部, 教授 (70021178)
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研究分担者 |
大越 豊 信州大学, 繊維学部, 教授 (40185236)
後藤 康夫 信州大学, 繊維学部, 准教授 (60262698)
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キーワード | SBSブロック共重合体 / ブタジェンラバー / 抗血栓性 / 血小板粘着 / PEG / グラフト / SEM / 活性化 |
研究概要 |
本年度はスチレン・ブタジエン・スチレン(SBS)ブロック共重合体のポリブタジエン(PB)部表面にポリエチレングリコール(PEG)をグラフトし、親水性/疎水性ミクロ相分離構造に加え、PEG層による分子の排除効果による抗血栓性の寄与を検討した。比較のためにブタジエンラバー(BR)の表面にPEGをグラフトさせた試料について抗血栓性を調べた(第56回高分子学会年次大会にて発表、2008年の8th World Biomaterals Congressにて発表予定)。 PEGのグラフトは、トルエン溶液よりキャストしたフィルムと溶融成形したフィルムを(1)加熱することによりPBドメイン表面を熱酸化後、末端にエポキシ基を有するPEGと反応させる方法、(2)Pd触媒を用い、PBドメイン表面にカルボン酸を導入後、これを無水マレイン酸に変換しPEGと反応させる方法に依った。これらの方法によりSBSブロック共重合体のPBドメイン表面とBR表面がPEGによりグラフトされることが明らかとなった。 これらのキャスト試料の抗血栓性を評価するために血小板粘着試験を行った結果、(1)と(2)の方法によりPB部表面にPEGをグラフトしたSBS(SBS-g-PEG)表面の抗血栓性は、昨年度のPB部表面を水酸化したSBS試料と比べ良好であり、且つ優れた抗血栓性を有するPoly(MPC_<0.3>-co-BMA_<0.7>)共重合体を塗布したガラス表面に匹敵することが分かった。SBS-g-PEG表面に付着した血小板は形態変化せず、活性化しないことが観察された。一方、BRにPEGをグラフトした表面には活性化した血小板が多数見受けられた。これらのことは、PEG鎖の分子排除効果に加え、親水性/疎水性型ミクロ相分離構造が更なる効果を与えることを示唆している。 溶融成形フィルムでも同様な結果が得られ、抗血栓性材料として有用であることが明らかとなった。
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