GATA3遺伝子導入トランスジェニックマウスを用いた喘息や寄生虫感染防御モデルからGATA3転写因子がin vitro同様in vivoにおいてもTh2型免疫反応を強く制御することを明らかにした。また、Th1型免疫反応を主体とするTBCB誘導接触皮膚炎をGATA3-Tgマウスに誘発した場合に、Th2型免疫反応が大きく関与していることもこれまでに明になった(投稿準備中)。Th1型アレルギー反応を主体とするものとして近年話題となっているものに金属アレルギーがあげられることから、GATA3-Tgマウスを用いた金属アレルギー反応においてもTh2型免疫反応が関与するか検討した。金属種はチタンとニッケルの形状記憶合金(Ti-Ni)を用い、また500もしくは600℃の高温酸化処理を施したものと比較検討した。その結果、未処理のφ5mmのTi-Ni試験片をマウス皮下移植1ヶ月後、そのマウス耳介に1000ppのニケッケル水溶液を20μlを皮内投与後経時的に腫脹反応を計測したところ、(1)GATA-3マウスにおいてニッケル再刺激3時間後からWTマウスに比して著明な腫脹反応が認められ、そのピークは48時間後で約2倍であった。(2)また、高温酸化処理を移植されたマウスにおける腫脹反応と未処理試験片移植マウスとの反応の違いを検討したところ500℃では未処理反応の約1/2になっていたが、600℃ではむしろ反応が未処理よりも強く認められた。(3)腫脹反応後に試験片を回収して際に500℃処理試験片では組織としっかりと結合していたが、600℃では組織から容易に試験片を摘出することができた。種々の試験片を移植されたマウスのIgE抗体価を測定した結果、(4)有意差は認められなかったがGATA-3Tgマウスで産生量が高くなったが、500℃処理試験片では未処理群に比較して著明に産生が抑制されていた。以上の結果から、ニッケル金属によるアレルギーはTh1型免疫反応ばかりでなくTh2型免疫反応も大きく関与すると共に、金属種による反応の違いを認識出来る実験系であることが示唆された。
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