研究概要 |
GATA-3Tgマウスを用いて金属アレルギーモデルの樹立と金属加工法によるアレルギー誘導能の違いを見いだした。本マウスが低アレルギー金属開発に有用であることが示唆された。【方法及び材料】(1)未処置もしくは酸素拡散処理(To500)Ni-Ti試験片をGATA-3Tgマウス皮下移植1ケ月後、耳介皮内にNi溶液を接種し、腫脹反応を経時的に測定した。(2)抗体価及び組織内サイトカインはELISA法、金属溶出度は試験片を3%NaCl溶液中37℃28日間浸潤した溶液を原子吸光度計にて測定した。(3)Ni溶液再刺激耳介組織内サイトカン産生や血清中総lgE、IgG1及びlgG2a抗体価についてELISA法を用いて検討した。(4)耳介組織内サイトカイン(IY4,IL-5,IL-13,IFN-γ)をELISAにて測定した。【結果及び考察】(1)GATA-3Tgマウスでは、Ni再刺激後24-72時間まで対照マウスの約3倍の耳介腫脹と総IgE量は約2倍高くなった。他アイソタイプについては明らかな違いは認められなかった。(2)再刺激24時間目の組織内サイトカインはIL-4の増加・IFN-γの減少を認めた。この傾向は再刺激1ケ月まで持続すると共に強い繊維化が認められた。(3)組織学的検索に於いて表紙の剥離および皮膚組織の肥厚が観察された。(4)この皮膚反応は、CD4+陽性細胞を主体とする反応であることが、Ti-Ni移植GATA-3 TgCD4+陽性脾臓細胞のRAG2KOマウスへの移入により明らかになった。(5)酸素拡散処理試験片では、腫脹は約1/5、総lgE抗体量は低値を示した。金属の溶出度は未処理試験片で1/2に減少した。以上の結果、(1)Niアレルギー誘導にTh2型免疫反応の関与(2)酸素拡散処理合金の低アレルギー誘導が確認され、GATA-3Tgマウスが低アレルギー誘導能金属開発に有用なモデル検定系になる可能性が示唆された。
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