研究課題
基盤研究(C)
酸素運搬体であるHb小胞体の酸化(met化)の抑制には、チロシンを基質としたmetHbのペルオキシゲナーゼ活性を利用した過酸化水素消去系が効果的であることを、反応中間体であるferrylHbラジカルを単離して、UV-visスペクトルやESRスペクトル測定を行った。その結果、metHbは過酸化水素と反応してferrylHbラジカルとなり、過酸化水素は水となる。このferrylHbラジカルが二分子のチロシンと反応してmetHbに戻り、チロシンラジカルはジチロシンとなる。この反応が安定にサイクルして、過酸化水素が消去されジチロシンが生じることが明らかとなった。この過酸化水素消去系をHb小胞体内に組込み、met化挙動をin vitro, in vivo系にて評価したところ、過酸化水素を連続添加してもmetHbの生成は大幅に抑制された。更に、水に難溶なチロシンを予め中和した塩の状態で高濃度Hb溶液に高濃度に溶解させることに成功し、これをHb小胞体に導入してラットに20%負荷投与したところ、met化率が50%に到達するまでの時間が3倍延長した。また、一酸化炭素化率の異なる部分一酸化炭素化Hbを調製する条件を確立し、それらを用いてmet化率の推移を測定したところ、一酸化炭素化率の関わらず残りの酸素化Hbのmet化率の推移はほぼ同じであった。従って、一酸化炭素化Hbからの一酸化炭素の脱離に伴って緩やかにmet化が起こる系の構築の可能性が示唆された。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (1件)
Artificial Cells, Blood Substitutes, and Biotechnology submitted