研究概要 |
造影超音波によるマイクロバブルのsonoporation(超音波穿孔)を応用した肝癌に対する抗癌剤の新たなdrug delivery systemの開発を目的とした基礎研究をおこなった。In vitro解析では、培養肝癌細胞株の培養液中に超音波造影剤と蛍光色素を加えて、超音波照射後に蛍光顕微鏡観察をおこない、肝癌細胞内へのsonoporation効果による蛍光色素導入を確認した。In vivo解析では、培養膵癌細胞株皮下移植マウスやDEN誘発肝発癌マウスに造影超音波をおこない、sonoporation効果を解析するための至適条件を検討した。さらに、マウスに超音波造影剤と蛍光色素を投与後、自家蛍光内視鏡AFIを用いた蛍光腹腔鏡観察をおこない, 超音波照射マウスにおいて肝臓内に蛍光色素が効果的に導入されていることを明らかにした。以上より、臨床用超音波診断装置や超音波造影剤を用いても肝臓においてsonoporation効果が認められ、肝癌に対する抗癌剤の新たなdrug delivery systemの開発と臨床応用につながると考えられた。
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