研究課題
基盤研究(C)
【目的】魚類のウロコは、膜性骨に似た硬組織であり、骨芽細胞と破骨細胞、さらにI型コラーゲンやハイドロキシアパタイトを含む骨基質が備わっている。したがってウロコを用いると、株細胞で達成できなかった骨組織の相互作用を、生体内に近い状態で再現できる。そこで研究代表者の鈴木はウロコに注目し、ウロコを用いた培養・検定法を確立した。その方法を用いて、超音波の骨組織に対する影響を解析する。次にウロコで得られた条件を哺乳類(ラットやマウス等)の歯に応用し、超音波の硬組織に対する影響についても解析する。本年度は、ウロコを用いて超音波の条件の検討を行い、特に骨芽細胞においてマーカー遺伝子の発現を解析した。【研究成果】1)超音波を過度に照射すると、フリーラジカルを発生させ、さらに温度上昇により、細胞に損傷を与える。そこでフリーラジカルを発生しない条件であり、温度上昇が3℃以内で骨芽細胞を活性化させる条件を見出した。その条件は、60mW/cm^2(I_<SATA>)、1MHz、50% duty factor、0.5Hz刺激周期、6分間である。2)骨芽細胞が超音波刺激により応答したので、骨芽細胞で特異的に発現しているマーカー遺伝子であるinsulin-like growth factor-I(IGF-I)とestrogen receptor(ER)の遺伝子発現をRT-PCRにより調べた。ERのmRNAレベルは、超音波刺激後、培養3時間では変化しなかったが、18時間では有意に増加した。一方、IGF-IのmRNAレベルは、3時間培養で有意に増加し、18時間培養では有意に変化しなかった。したがって、超音波刺激によりIGF-IのmRNA発現は、ERのmRNA発現よりも早期に起こり、骨芽細胞を活性化している可能性が示された。次年度は、以上の成果を基に、歯胚の培養系において歯の発生過程における超音波の影響を解析する予定である。
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南江堂 (印刷中)
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