研究課題
【目的】魚類のウロコは、膜性骨に似た硬組織であり、骨芽細胞、破骨細胞及び骨基質が備わっている。そこでウロコに注目し、ウロコを骨のモデルとして用いた培養・検定法を確立した。昨年度は、その方法を用いて、低出力超音波パルスの骨組織及び歯胚に対する影響を解析した本年度は低出力超音波パルスの作用機構を解析するため、GeneChip解析を行った。また、骨疾患の治療薬のスクリーニングをウロコで行い、骨疾患モデル(卵巣摘出ラット及び低Ca食で飼育したラット)に対する作用を調べた。【研究成果】1) ゼブラフィッシュのGeneChipを用いて低出力超音波パルス刺激の影響を解析した。その結果、1)線維芽細胞の増殖に関する遺伝子、2)細胞間接着に関する遺伝子、3)石灰化に関する遺伝子の発現が上昇した。さらに破骨細胞の活性を促す遺伝子(c-Jun, c-fos及びprotein tyrosine kinase 2b : PTK2B等)の発現が低下することが判明した。したがって、低出力超音波パルス刺激は、破骨細胞の分化・誘導に関与するシグナル伝達経路を抑制しており、その結果として破骨細胞の活性を抑制することが判明した。2) 最近我々は、概日リズムに関与するホルモンであるメラトニンが、骨形成に関与することを明らかにした。そこでメラトニン誘導体(2-ブロモメラトニン、2,4,6-トリブロモメラトニン、1-アリル-2,4,6-トリブロモメラトニン、1-プロパルギル-2,4,6-トリブロモ-メラトニン、1-ベンジル-2,4,6-トリブロモメラトニン及び2,4,6,7-テトラブロモメラトニン)に対する作用をウロコで調べた。その結果、1-ベンジル-2,4,6-トリブロモメラトニンの作用は強く、破骨細胞の活性を低下させ、骨芽細胞の活性を上昇させた。さらにこの新規誘導体は骨疾患のモデルとして用いられている卵巣除去ラットや低カルシウム食を与えたラットを使用した動物実験により、骨密度や骨強度が上昇することを確認している。この化合物は、骨疾患の治療に有望である。
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