医用超音波映像装置として、レンズ結像系を採用する、ビームフォーミングや指向性合成をしない、また音線順次でない一括一覧撮影の形の装置を開発して来た。レンズの焦点面にピクセル毎のセンサがあるイメージングプレートを実現するのが当初の目的であったが、経費や実現可能性、また支援人材の制約のためイメージングプレートは1次元縮退させて1次元ストライプアレイとし、これを撮像中に光軸を中心として最低半回転させていわゆるシノグラムを獲得し、これをCTアルゴリズムにより画像化する、方式に変更した。今年度は費用と期限の範囲内ではこの目的の1次元ストライプアレイ受波器と対応する受信機アレイを試作し、電気的に、また一部は音響的に、動作を検証した。すなわちこの主旨に従いピッチ0.5mm、開口面サイズ25x25mm、設計中心周波数3MHzの50エレメント1次元ストライプアレイ構造のフォーカルプレン受波器を試作し、その評価を行い、所期の成果を得た。バッキングおよびマッチングを施したのちの全50エレメントに脱落や欠陥はなく、固有静電容量も十分均一であった。中央部近傍の選択されたエレメント対を1チャンネルドプラ送受信機に接続し掌の表在血流信号を得た。この段階で方式原理の実証と基本要素の動作確認は出来たと考えられる。しかしながら受波器アレイを回転させつつフォーカルプレンシノグラムデータ採取する機械系と、得られたフォーカルプレンシノグラムの実データから実映像を再構成する系は、費用や人材また所要労働力の面での制約のため実現または実施するには及ばなかったので、今後の課題である。
|