| 研究概要 |
超音波画像診断により肩関節機能を評価する際に必要な基礎データを確立するための測定パラメーターの確立を目的に、肩関節関節周囲筋群の筋断面積や筋厚などの静的情報,および動作中の関節面の滑走性,肩関節関節唇など動態情報,関節運動制限因子などの動的情報を収集した。特に筋や腱が伸張される外力において、筋と腱の伸張性が同質ではなく、それぞれに固有性をもった伸張動態があることを掌握することができた。体表上からは特定の関節の可動域拡大という動作観察であっても、体内におけるその可動域確保のメカニズムとして、筋、腱の組成動態がそれぞれに影響をあたえている可能性を示唆した。このうように、体表動作レベルで掌握できない動作に伴う生体内構造の動態を分析する手法を発展させることができた。また、これらの動態特性は、腱や筋の組成変化やトレーナービリティーの相異から年齢や外傷障害に影響をうける可能性があり、次年度においてすすめる研究の方向性を具体化させることができた。一方で関節包と軟部組織などの滑走性の評価手法の確立には、さらに測定方法や計測方法の検討が必要な状況である。本年度において測定した超音波画像による生体内動態評価は再現性の検討も含め臨床的に評価しうるレベルの画像が採取可能であることを明らかにした。この生体情報の観察にあわせて同一個体における体表動作の記録を可能とするシステムを確立した。これにより、超音波生体内影像で描出される動画を追尾した,体表運動の観察を可能とするシステム基盤を確立した。
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