アクチュエータである超音波モータは、周波数を可変することにより制御を行った。この方式を用いることにより、位相差を制御方式に較べて、より高回転での移動が可能となる。周波数は高速に周波数を切り替えることが可能なダイレクト・デジタル・シンセサイザー方式を用いた。また、制御理論には超音波モータの入出力関係が線形となるようにニューラルネットワークを用いた。これにより非線形性の強い超音波モータを見かけ上線形にすることができ、これをPID制御によって制御を行った。このようにNNとPID制御器を組み合わせることにより、目標値近傍の応答波形を変えることができ、オーバーシュートが生じないような応答にすることができる。 手術用のアクチュエータは超音波モータを中空型に改造して、2自由度の空間を動かせる方式を試作した。これは動力の伝達をギアで行うのではなく、超音波モータ自体を直接送りネジ方式によって、移動させる方式である。このような構成にすることにより、狭いMRI空間においても、ギアのような突起物が生じないような構造とすることができる。また、電源を供給していない場合は、回転することがないため安全性と省電力にすぐれている。この方式のアームを複数本組み合わせることにより、任意の角度からアームを頭部に位置決めすることができる。現段階では、市販の送りネジを加工して製作している。これをセラミックス等に変更して、MRI画像に影響がでないような非磁性体で構成する予定である。
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