手術用のアクチュエータは超音波モータを中空型に改造して、2自由度の空間を動かせる方式を製作した。これは動力の伝達をギアで行うのではなく、超音波モータ自体を直接送りネジ方式によって、移動させる方式である。この構造のアームを互いに直角に配置することにより、軽量・小型で任意の方向に移動できるアームを製作できた。構成材料は、非磁性体であるセラミックスを用いる予定であったが、衝撃に弱い欠点があり用いることができなかった。そのため材料は、チタンとPEEK樹脂を組み合わせて用いた。チタンは強度の必要なアーム部(ネジ棒)に用いた。その他は非金属で耐磨耗性や耐熱性に優れているPEEK樹脂を用いた。このように材料を使い分けることにより、MRIの撮影画像への影響を最小とすることができる。 アクチュエータである超音波モータは、周波数を可変することにより制御を行った。この方式を用いることにより、位相差を制御方式に較べて、より高回転での移動および低速時での高トルク動作が可能となる。制御回路はマイコン部と駆動部をフォトカップラにより分離することにより、誤動作のない回路とすることができた。この電子回路をCAD化して、プリント基板加工機により製作することにより、軸数の複数化に対応できるようにした。 現在、アーム軸の複数化(多自由度)を行い、動作範囲や角度がMRIのガントリ空間内で行えるようにアームの長さやリンク棒の位置の調整を行っている。
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