研究概要 |
平成18年度,19年度の2年間において,症例データ収集では120例近くを達成した。握力,10m歩行試験,立位バランス試験,反復起立試験,Barthel Index,各種体組成項目(筋肉量、推定骨量、脂肪量、体水分量、基礎代謝量),TP、Alb等の血液データ,および食事摂取量や非経口的栄養投与についてデータ蓄積できた。これらのデータを平成20年1月より解析中であるが,現時点で注目できる点は以下のとおりである。 1)握力,10m歩行試験,反復起立試験はBarthel Indexとの相関があるようである。立位バランス試験はBarthel Indexとの相関がない様である。 2)各種体組成項目は,その値が低いと各種運動評価項目の回復が遅い傾向がある様である。 3)運動評価項目のスコアが顕著に改善しても,体組成項目は変化しない。 4)運動評価項目やBarthel Indexの改善は,TP、Alb等の血液dataや食事摂取量には影響されない様である。 リハビリテーション医療の立場からみたdeconditioningは単なる廃用性の運動機能障害のみとは言いがたい。体力消耗や低栄養といった代謝的、栄養学的問題も強く関与していると考えるが,現在のデータ分析途上では,これらを明らかにできるような結果が表れていると考えられる。また,本研究結果は最終的に,deconditioningに対する適切な治療指針を,運動学と代謝、栄養学の両者を織りまぜた形で包括的に示せるものと考えている。 平成20年度は,以上の点をさらに明解となるように分析を進め,学会発表(現在,日本リハビリテーション医学会,欧州運動学障害医学会に演題採択されている)を行うとともに,現在記載中の学術論文をさらに進めたい。本年度は,学会発表にかかる諸費用,および論文記載、投稿にかかる費用(文献検索,英文添削,印刷費等)を本研究補助金で賄わせていただきたい。
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