これまでのin vivo実験において、ddYマウスのハムストリング筋肉内に豚長管骨から抽出した粗製骨形成因子(BMP)を移植し、3週後のソフテックス軟部撮影において全例に新生骨形成が得られた。BMP移植期間中、同部に0.1W/cm2、0、5W/cm2、1.0W/cm2の各強度の超音波照射群と非照射群を作成し、新生骨形成への影響を比較検討した。新生骨1000℃・1時間焼灼による灰分重量をもって、新生骨形成量とした。結果は、0.1W/cm2照射群において、非照射群より有意に新生骨形成の抑制を認めた(pく0.01)。0.5W/cm2、1.0W/cm2の各照射群では非照射群との間に有意差は認めなかったが、いずれの群でも照射群で低い新生骨形成の傾向が見られた。以上のことから、これらの強度の超音波照射は異所性骨化の発生予防、成育予防に効果があることが示唆された。現在、まだn値が少ないので、さらに追加実験を行っていく予定である。さらに、脊髄損傷を実験的に作成したマウスにおいて、非損傷群に比べ著名に旺盛な異所性骨化を認めたので、この点についても今後、組織学的観察や麻痺筋の器官培養によりその病態の究明を進めていく予定である。また、超音波照射の影響も調べる予定である。 In vitro実験においては、幼若ラット胎仔筋細胞を脱灰骨基質上で器官培養するNogami-systemを確立した。ラット胎仔の上腕三頭筋を摘出・細切し、活性を有する骨基質上で、CMRL1066培養液中で2週間器官培養し、筋肉内に軟骨形成を確認した。今後、BMP非活性化した骨基質を作成し、筋にBMPを付加したうえで超音波を培養期間中照射し、軟骨形成への影響を見る予定である。
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