研究課題/領域番号 |
18500409
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
末吉 靖宏 鹿児島大学, 教育学部, 准教授 (30196688)
|
研究分担者 |
川平 和美 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20117493)
下堂薗 恵 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 准教授 (30325782)
|
キーワード | 脳卒中 / 片麻痺 / リハビリテーション / 歩行 / 機能回復訓練 / 訓練支援システム / 無線 / センサ |
研究概要 |
これまでの研究で我々は、患者に装着したセンサおよび刺激装置をケーブルでつなぎ、固定式計算機で制御し、片麻痺患者の遊脚中の下肢に振動刺激を与えるようなシステムを構築していた。本年度はシステムの制御装置部を小型化し、患者に訓練装置一式を装着することにより、ケーブルによる可動範囲の制限をなくした訓練装置を製作した。 歩行訓練支援システムは、荷重センサの信号により麻痺肢の遊脚中に麻痺肢鼠径部と非麻痺肢中殿筋に、また、麻痺肢の立脚中に麻痺肢中殿筋に振動を与えることにより、麻痺歩行の改善促進を図り、下肢の角速度センサよる下肢角速度の評価を行えるものである。 本装置を装着した結果、片麻痺患者の特に健側の下腿角速度に有意な増大傾向が見られ、振動刺激の歩行改善の可能性が示唆された。しかし、本装置のモデルとなるリハビリテーション専門医による促通手技を行う歩行においては、下肢角速度にさらに大きな増大傾向が見られた。このことは、本装置における振動と専門医によるタッピング刺激の間に刺激の強さ、もしくはタイミングにまだ差があり、今後、この差の要因を確かめ装置を改善することにより、さらに患者の歩行改善に対する効果を高めることができる可能性のあることも示唆された。 振動刺激を用いて脳卒中リハビリテーション患者の歩行改善を促進する試みは、世界的にもまだ見られない。また、システムのモデルともなる促通手技を用いた歩行の促進も、その効果について定量化されたのは、ほとんどはじめてのことであり、臨床的、学術的な意義は高いといえる。
|