研究分担者 |
池田 聡 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (00343369)
川平 和美 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (20117493)
吉田 輝 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (40347109)
坂江 清弘 鹿児島大学, 医学部, 教授 (70041358)
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研究概要 |
まず我々は,運動の種類を変えることで麻痺の回復にどの様な影響が出るかを,行動学的に分析する目的で実験を行った。実験には7週令のWistar系ラットの雄34匹(231±12g)を使用し,全て脳梗塞モデルラットを作成した。これらを自然回復群(11匹),単純な運動群(ラット用トレッドミルを20分間走らせる)(12匹),複雑な運動群(20分間の棒渡り運動)(11匹)に無作為に振り分け,運動の回復を2週間観察した。運動機能の評価は,2.5cm幅,120cmの棒の上を歩かせ,後肢の動きで判定するFeeneyらのScaleを用いた。麻痺の回復が最も高いStage7になるのに要した時間(14日しても回復しない場合は14日として計算)を各群で比較すると,一元配置分散分析で3群間に有意差が認められた(p<0.01)。多重比較(Tukeyの方法)で単純な運動と複雑な運動は(p<0.05)で,その他は(p<0.01)にて有意差が認められた。この結果から,特に目的とする動作を繰り返して行うことで他の運動よりも早く,動作能力を獲得できることが示された。 次に,この動作能力を獲得する一週間の間にみられる運動機能の回復と脳内の栄養因子発現の関係を検証することとする。実験には7週令のWistar系ラットの雄42匹(232±9.5g)を使用し,自然回復群と運動群(20分間の棒渡り運動)に無作為に振り分けた。自然回復群は脳梗塞作成後1・3・5・7日にそれぞれ6匹ずつ,運動群は脳梗塞作成後3・5・7日にそれぞれ6匹ずつ灌流固定を行い、脳組織を採取した。Schabitzらの論文と同様に梗塞巣の体積を求めて比較した。各群の対象が少なかったので,ノンパラメトリックのKruskal-Wallis検定を行った結果,群間に有意差が認められた(p<0.01)。どこに有意差があるか多重比較を行った結果,3日目と5日目の自然回復群と複雑な運動群に有意差が認められた(p<0.05)。しかし,7日目の自然回復群と複雑な運動群には有意差が認められなかった。免疫染色はPAP法で行い、GDNFとその受容体であるGFRα-1、アポトーシスと関連の深いcaspase-3,軸索の伸長と関連のあるGap43などを染色している。現在,染色された試料の光学顕微鏡画像をパソコンに取り込み、半定量的処理を画像処理ソフト(Scion Image)で行っている。また、GDNFとグリア細胞などとの関連を検証するために、2重染色等も行っている。
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