研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、早期に行われる運動が中枢神経の可塑性に与える影響を明らかにしようとするものである。18年度の研究では、脳梗塞モデルラットを作成して単純な運動(ラット用トレッドミル運動)と複雑な運動(棒渡り運動)を行わせると、複雑な運動を行った方が機能の回復が早いことを示した。19年度の研究では、運動機能の回復と神経栄養因子などの発現との関係を免疫組織学的に検討した。我々のモデルではコントロール群と運動群において、アポトーシスと関連の深いcaspase-3や軸索の伸張と関連のあるGap43の発現に違いは認められなかった。しかし、神経栄養因子の1つであるGDNFは脳梗塞作成後3日目においてコントロール群と比較して運動を行わせたグループの梗塞周囲に多く発現がみられた。脳梗塞作成後3日目は運動機能の回復が最も著しい時期であり、機能回復とGDNFの関連を示唆する結果であった。GDNFに関しては神経保護作用の報告が多いが、今回の結果では神経保護作用というよりはむしろ脳の可塑性に関与している可能性が考えられた。脳の可塑性はリハビリテーションにおいて重要なテーマである。運動と脳の可塑性の関係が明らかになることによって、根拠に基づいたリハビリテーション医療を実現することが可能になると考えられる。今後、運動によって神経栄養因子の発現が誘導されるまでの、シグナリングカスケードを明らかにできるように研究を発展させていきたい。
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Urology (in press)
Int J Neurosci. 117
ページ: 315-326
Int J Neurosci 117