研究概要 |
本研究は、交感神経ブロック療法として用いられる星状神経節光線照射療法の作用としてなお解明されていない光作用についてこれが温熱作用を介している可能性があるかどうかを単純な接触性温熱療法との比較検討することを目的とした。 25人の健常人大学生で、ホットパックを用いた片側頚部温熱療法を行い、血圧・脈拍の周波数解析、皮膚温計測、発汗量計測などの自律神経機能と、血液検査により各種ホルモン・NK細胞・活性などを調ぺた。頚部温熱療法が星状神経節光線療法に類似する交感神経抑制作用があることを示した。 臨床的には、約50名の脳卒中患者の静的な皮膚温と疾患活動性を調査し、多くの症例が、障害側循環障害を認め、麻痺側皮膚温が障害の重症度やADLとの多くの関連性を明らかとした(論文1Biomedical Thermology26(3)71-76,2007で公表)。また脳卒中例において肩関節痛でホットパック温熱療法を要ずる患者については、1年目はサーミスターによる非侵襲性の皮膚温計測のみ行い、温熱療法側の皮膚温の有意の変動が現れる、頚部温熱療法が交感神経緊張抑制に作用し、光線療法の正常神経ブロック作用と同様の現象であることを確認し、国際リハビリテーション医学会(2007年6月)に一般演題応募し受理された。 1年目の研究成果としては、仮説に基づく結果が導かれ、今回健常人に行った詳細な生理学的検討を、脳卒中症例に適応し温熱療法の効果を明らかとしたい。
|