研究課題/領域番号 |
18500421
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
辻 哲也 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90245639)
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研究分担者 |
里宇 明元 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60146701)
石川 愛子 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10348774)
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キーワード | 悪性腫瘍 / リンパ浮腫 / 乳癌 / 婦人科癌 / 子宮癌 / リンパ節郭清 / 超音波エコー |
研究概要 |
【目的】超音波エコーは無侵襲的かつ簡便な検査方法であることから、リンパ浮腫の診断や治療効果の判定への応用が試みられているが、臨床の場で使用できる評価方法は十分には確立されていないのが現状である。本研究の目的は、リンパ浮腫でみられる特徴的な超音波エコー所見について、臨床の場で使用できる定性的な評価法を作成し、その信頼性および妥当性を検討することである。 【方法】対象はリンパ浮腫の既往がない健常者(女性3名、平均年齢21.0±1.0歳)および下肢リンパ浮腫患者(女性12名、平均年齢70.5±11.6歳)、原病は子宮頸癌4名・子宮体癌2名・卵巣癌2名・卵巣腫瘍1名・原因不明3名、浮腫の場所は、両下肢7名・左下肢4名・右下肢1名であった。超音波エコー機器としてNemio17(東芝社製)を用い、エコーモードはBモードプローブ、8MHzで幅6cmのコンベンションタイプの端子を用いた。リンパ浮腫患者で特徴的にみられるエコー所見として(1)繊維層の消失、(2)細胞間隙へのリンパ液貯留、(3)皮下組織のエコー輝度の高エコー化、(4)真皮と皮下組織の境界の明瞭度の低下の4つの所見を選定し、その信頼性と妥当性を統計学的に検討した。 【結果】4つの評価指標のすべてにおいて高い検者間信頼性を示した。また、リンパ浮腫の定量的評価法や臨床分類との間の相関も有意に高く、併存的妥当性および基準関連妥当性に優れた有用な評価であることが示された。 【考察】今回定めた4つの超音波エコー所見による診断基準は、リンパ浮腫と健常者の鑑別やリンパ浮腫の病態の進行を反映しており、リンパ浮腫の診断に有用であることが示された。
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