重心動揺計を用いた足踏み検査 【目的】重心動揺計では静的バランス機能を評価できても、動的バランス機能を評価することは困難である。重心動揺計を用いて足踏み検査を行い、足踏みと動的バランス機能を評価することを研究の目的とした。 【対象と方法】健常者66名(男37名、女29名、19〜65歳、平均年齢44.9歳)を対象として、2枚の測定板からなる重心動揺計上で任意の速さによる自由足踏みと100歩/分の足踏み(各々30秒間)、最大努力による足踏み(10秒間)を行わせ、歩数、全体と左右別の足圧中心の動揺変化、鉛直方向の床反力、歩行周期(立脚期と遊脚期)などを計測した。結果より足踏み方法の違いや年齢との関係について検討した。 【結果】自由足踏みの歩数は平均57.8回/30秒、最大足踏みの歩数は平均30.7回/10秒であった。同じ歩数(20歩)で比較すると、最大足踏みは自由足踏みに比べ足圧中心の動揺が大きく、左右別の足圧中心と鉛直方向の床反力の変動幅が大きくなったが、歩行周期に違いは認められなかった。年齢が高くなると足圧中心の動揺が大きくなり、左右別の足圧中心と床反力の変動幅が大きくなった。また、最大努力と100歩/分の足踏みでは、加齢と共に立脚期と両脚支持期が短くなり、遊脚期が長くなった。 【考察】重心動揺計を使用した今回の研究で、足踏みの特徴と動揺変化を捉えることが可能であった。転倒に関連する動的バランス機能の評価や各種疾患の足踏み(歩行)の評価(リハ効果の検討など)に応用できる検査方法であることが示唆された。
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